その扉は引き戸です

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バンバンッ バンバンバンッ 『ねずみさーん。   いるのは分かってるんですよー!』 玄関を叩いて…、いや、殴りつけているのは家賃の取り立てだろうか。 「ねずみさん。さすがに今月ちょっとは払わな いとまずいっすよ。」 玄関の音が激しくなった どうやら手だけでは足らず足まで使い出したようだ 『ちょっとさあ、いいかげんにしてもらえませんかね。自分らもボランティアじゃないんでねえ。』 ほら、とでも言うように玄関に向けていた目をねずみに移した 「はあ、まったく。頭の固い方々ですね。 きっとカルシウムが足りないのでしょう。 あ、カルシウムと言えばチーズの中にはですねえー…」 「ストップ。」 こいつの話しは聞かないに越したことはない どうせまた最後はチーズの穴に入ることがいかにすばらしいか熱弁し出すに違いない 「その話、お外のみなさんにも聞いてもらったらどうっすかー。」
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