◇バーチャル◇

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そこへ、 「あ、いた!」 と、若い男が2人、走りよってきた。 「いや、びっくりしたゎー」 そういいながら、2人が私達の横に座る。 「まさか、いきなりこっちの世界に放り込まれるとはね」 ん?・・こっちの世界? 私の怪訝そうな顔を見ながら、彼が 「いや、王子。それが、なんか雪、記憶がないみたいで・・」 と、困ったようにいう。 「えっ?!」 2人が、顔を見合わせ目を見開く。 「雪ねぇ。・・頭でも打った?」 ・・ん?雪ねぇ? 知り合い? 王子と呼ばれたのは、なかなかイケメンの年齢不詳の小柄な男性。 もう一人は、チンピラ・・もとい、某ダンスグループのダンサーのような黒服にサングラスの若者。 「・・まあ、焦らなくてもそのうち思い出すんじゃない?」 王子と呼ばれた方の男が、のんびりとそういう。 「説明しなくていいの?」 黒服サングラスの方が心配そうに促すが、彼は 「うーん」 とうなるだけで口を開かない。顔に面倒、と書いてある。
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