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「とりあえず、別部隊と落ち合うから先に進もうか」
と、王子が促す。
王子の手には発信機のようなもの。
赤いチカチカが点滅している。
もの問いたげな彼女の視線に気づいたのか、
「これは電子マップみたいなやつだよ。参加の時にマスターに渡されたから、マスターはみんな持ってるよ。赤いのが、仲間の位置」
と、王子が丁寧に説明してくれる。
「雪、立てるか?」
棗が心配そうに覗き込む。
「うん」
促されゆっくりと立ち上がろうとしたが、次の瞬間、足元から頭へと突きさすような痛みに
「痛ッ」
と思わず声をあげ、またしゃがみこむ。
すると、
「ほら」
と、棗が彼女に背中を向け、しゃがんで見せた。
「・・えっ?」
「おんぶしてやる」
がっしりとした背中が彼女の目の前に広がる。
「でも・・」
躊躇する彼女を振り返り、棗が笑いかける。
「雪なんて重くもないわ」
「や、でも悪いし」
恥ずかしいし・・
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