◇バーチャル◇

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「とりあえず、別部隊と落ち合うから先に進もうか」 と、王子が促す。 王子の手には発信機のようなもの。 赤いチカチカが点滅している。 もの問いたげな彼女の視線に気づいたのか、 「これは電子マップみたいなやつだよ。参加の時にマスターに渡されたから、マスターはみんな持ってるよ。赤いのが、仲間の位置」 と、王子が丁寧に説明してくれる。 「雪、立てるか?」 棗が心配そうに覗き込む。 「うん」 促されゆっくりと立ち上がろうとしたが、次の瞬間、足元から頭へと突きさすような痛みに 「痛ッ」 と思わず声をあげ、またしゃがみこむ。 すると、 「ほら」 と、棗が彼女に背中を向け、しゃがんで見せた。 「・・えっ?」 「おんぶしてやる」 がっしりとした背中が彼女の目の前に広がる。 「でも・・」 躊躇する彼女を振り返り、棗が笑いかける。 「雪なんて重くもないわ」 「や、でも悪いし」 恥ずかしいし・・
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