第3章

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「では、弟君の和樹様は御在宅でしょうか?」 「和樹坊ちゃまで、ございますか?」 意外そうな困惑顔。 「はい」 僕はしらっと答えた。 「実は今夜のお芝居のチケットが2枚、ディナーの席も2席用意がございまして」 「はあ」 「お嬢様を驚かせたいから黙っていると仰って――でももしお留守なら弟君をお誘いしてくるようにとのお達しでして」 もっともらしい説明に 騙されてくれたのか――。 「そういうことでしたか。少々お待ちを」 天宮家の老執事は玄関ホールに僕を残して 中へ戻って行った。
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