全ての終わり

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「美波一緒に遊ぼう」 翌日いつものようにお弁当を食べていると波琉が抑揚のない声で言ってきた。 今日は朝から波琉の様子がおかしいと思っていた。おはようと声をかけても返事は無いし、目が赤く寝不足のようだった。 波琉が購買から戻って来たのを見計らって席を移動したが、いつものように「購買混んでたー」と愚痴を言うことはなかった。 そんなこともあって誘われたのは意外だったが嬉しかった。 「良いよー。今日はどこに行くの?」 「違う。今から」 「え?どうゆうこと?」 「ちょっと来てくれる?」 そう言って波琉が席を立つ。 慌ててお弁当に蓋をして教室から出ていく波琉を追いかけた。 「どこ行くの?」 波琉は無言のまま早足で歩いている。 【美術室】 「こんな所で何をするの?」 その問いには答えず波琉はこちらを向いた。 その瞬間ブルッと寒気がした。 明らかに怒っている。私を睨み付け、体は怒りで震えているようにも見える。 ガラッ 先ほど自分たちが入ってきたドアが開く。 「もー波琉足早すぎ!マジでウケるんだけど」 何がウケるのか、何で早苗ちゃんと有季ちゃんがここに来たのか全く理解出来ない。 笑顔の早苗ちゃんが私の顔を見た瞬間に冷ややかな表情に変わった。 「ねぇ?昨日拓くんと何してたの?」 ギクッと体が硬直した。 「なっ、何って別に…」 言葉を遮るように「付き合うの?」早苗ちゃんが言った。 「いや。そおゆうのじゃなくて…」 実際何と言えば良いのかわからなかった。 あの後LINEを交換して、夜に何度かやり取りをしたが、好きとは言われても付き合おうという言葉は無かった。 「嘘つくんじゃねーよ!昨日空いてる部屋で何してたんだよ!」 見られてたんだ。すぐに気がついた。 「違うの。ちゃんと報告しなくてごめんね。本当はすぐ波琉に言うべきだったよね。」 波琉の腕を掴む。 「何言ってんの?お前?」 後ろから早苗の声がする。 波琉が掴んだ腕を乱暴に振りほどく。 「口紅とか塗ってきめーんだよ!」 え? 波琉どうしたの? 「波琉が拓のこと好きだった事も知らなかったのかよ!」 興奮した早苗が大きな声で私に言った。 震える体で波琉を見上げた。 涙を溜めた目で私を睨み続けていた。
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