全ての終わり

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それからは地獄だった。 波琉の他に特に仲の良い子がいたわけじゃなかったのだから。 昼休みになると波琉がやってくる。 「遊ぼう」 それが合図だった。 他の女子や男子からしたら仲良くどこかに行っているようにしか見えない。 昼休み終了のチャイムが鳴るまでの45分間ずっと私は責め立てられていた。 2週間がたった頃からもったいないのでお弁当も作るのをやめた。 「キモい。キモい。」 と言われている内に本当に自分は気持ち悪い人間なんだと思い始めた。 始めはただ悪口を浴びせられていただけだったが、3人の行動はどんどんとエスカレートしていく。 3人に土下座をして床に頭を擦り付けた。 ある時はあの口紅を塗って便器にキスをした。 ある時は淫乱と罵られ服を脱がされたこともあった。 いつも鍵がしてある屋上に連れて行かれ、鍵が開いていたらそこから飛び降りろと言われた。 幸いにも鍵がしてあったため「何だつまんねーな」と早苗が言った。 辛いとは思ったが、夜になるとくる拓くんからのLINEがあったので耐える事が出来た。 『今日昼休み戻って来たときオデコ赤くなってたね。どうしたの?』 いっそのこと言ってしまおうか?そう思ったが、好きな人に私イジメられてるの。なんて言えるわけない。 そうなったら波琉が拓くんを好きだと言わなくてはならない。 それだけは絶対に嫌だった。 『ちょっと転んじゃって(笑)』 『気を付けてよ!今度は俺とも一緒にお昼食べてください』 そんなやり取りで笑顔になれた。 4月になればクラス替えがある。そうなれば私は自由になれるはずだ。 気持ちを強く持って学校へ向かう。 2か月後の11月 『今日はスマホ持ってきてね』 波琉が笑って言った。 もうイジメに慣れきった私は、今日はスマホ水没させられるのかな?残念だけど、私のは防水だよ~。なんて思いながらブレザーのポケットにスマホを入れた。 【音楽室】 あれ?水没じゃない。 早苗が手を出してきたため素直にスマホを渡す。 抵抗しても無駄なのはわかっているから、早く終わってほしいという気持ちが強くなっていた。 画面を操作しながら 「えーコイツここまでされてんのにまだ拓とLINEしてんだけど!」 ハッとしてスマホを奪い返そうとする。 すかさず有季が早苗を庇う。 波琉がこちらを睨んでいた。
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