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クリスマスも無事に終わると相変わらず仕事に追われ俺はバタバタと年末を送っていた。
年が明け春がくればーーー
もうすぐ一年になる。
心音がこの会社に入り俺と出会い、弟子となって本当にあっという間だったな…。
弟子を取るなんて俺としてはかなり強引なやり方だったけど、心音の持てる力を出してやりたい。
その役目は俺でありたいと今でもその気持ちに変わりはない。
心音も俺のそんな気持ちに対してよく応えてくれていると思う。
近頃じゃ、意匠デザイン課のやつらも心音の才能に気づき始めている。
それでだーーー
実は最近の俺はある事をずっと考えていた。
ある事というのはーーー
初めてアイツを見た時、俺は夢に溢れる心音のあの目に惹かれコイツを絶対に一人前にしてやろうって思った。
もちろん今でもその気持ちに全く変わりはない。
ただ、俺の計算がくるったのは俺はアイツを…
心音を自分の女にしてしまったことだ。
心音の笑顔を見ているとたまらなく愛しくなって、こんな俺でも 胸が締め付けられるように苦しくなったりする 。
その笑顔を俺だけのものにしたくなり、閉じ込めたくなってしまうんだ、この胸に。
一層、仕事なんか止めさせて俺だけの為にずっと側にいろ、とさえ思うようになっている。
「何、考えてんだか俺は…」
そんな身勝手な事を考える自分に心底、呆れる。
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