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「そんなにも露骨にガッカリな顔しなくても。和さんじゃなくて悪かったね。でもどうしたの、そんな顔して。」
驚いた顔で須磨さんが私にハンカチを差し出してくれる。
「お借りします…」
財布しか持ってこなかったので素直に借りる事にした。
「取り敢えず、ここじゃなんだしーーー」
と言って水族館に隣接するカフェへとやってきた。
このカフェスペースも師匠が作ったものだ。
そう思っただけでまた景色が滲み出し慌てて今、借りたハンカチで目元を押さえる。
「っで、何で女の子が水族館に来て一人でボロボロ泣いているのさ?」
そりゃ、聞くよね。
正直に言うべきか。
私が返事に困っていると
「話したくなけりゃ、無理には聞かないけど少なくとも俺は今の君よりは和さんの事を理解しているつもりだけど?」
と初めて会った時みたいにウィンクをしてみせる須磨さん。
悔しいけれど確かにそうだよね。
ずっと、師匠の側にいたんだもんね。
私は少しして落ち着いてから須磨さんに全部話してみた。
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