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次の日、師匠の真っ赤なスポーツカーで空港まで送ってもらう。
本当は別れづらくなるから見送りは嫌だったけど…
「弟子の門出をちゃんと見届ける。これも師匠の務めだ。」
と言う言葉に素直に従った。
搭乗ゲートまで来ると師匠は私を抱き寄せ耳元で話す。
「心音、よく聞け。」
抱きしめられたまま私は頷く。
「今日でお前を破門にする。」
「えっ?」
師匠の突然の言葉に戸惑いが隠せない。
「だから今日からお前は俺のただの恋人だ。だが、俺はこれから旅立つお前を恋人として縛り付けたくないんだ。
俺の言いたいこと解るな?
心音…
俺達終わりにしよう。」
空港はとてもざわついているというのに
師匠の声だけが鮮明に私の耳に響いた。
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