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何故校門の中ではないかというと、さっき梨華が思い切り転んだからだ。なので今、転んだ時に出来た傷を校門前にあるベンチに梨華を座らせて手当てしている。現在梨華は半泣き状態だ。
「うぅ・・・・・・入学初日に転んじゃうなんて・・・・・・。縁起が悪いよ・・・・・・」
「そうだな。まあ、梨華が転んだ原因を作ったのは俺だけどな。ごめんな」
俺は傷の手当てが終わったので、立ち上がって半泣きの梨華を頭を撫でる。
「雄吾が謝らなくていいよ。ただぼくがドジなだけだし・・・・・・」
「確かにそうかもな。その癖、直した方がいいかもな。ほら、立てるか?」
俺は梨華に手を指し伸ばす。
「そういう時は嘘でも違うって言ってよ」
梨華は目尻に浮かんでいる涙を指先で拭うと、俺の手を取って立ち上がる。
その時周りには他に生徒たちも居た為、俺たちが手をつないでいるところを見られた。だからと言ってどうってことないが。
でも梨華は耳まで真っ赤にしていた。少し恥ずかしがり屋なのだ。
「この程度で恥ずかしがるな」
空いている左手で梨華の頭を撫でる。すると周囲に居る女子たちがキャーキャー言いだした。女性が憧れる頭ポンポンとかいうやつを見たからだろう。
「ちょっと!こんなところで・・・・・・」
梨華は更に顔を赤くした。
梨華ってこんなに恥ずかしがり屋だったっけ?
周りからの視線が凄いのだが、俺はそんなこと気にせず梨華の頭を撫で続ける。
「も、もう止めて!」
そう言うと梨華は俺の手を振り払い、そのまま校門を潜る。
俺はやれやれと思いながら踵を返し、校門を潜る。
少し先に梨華が居る為、軽く駆け足で駆け寄る。
「そう言えば、お前部活どうするの?ここでは何らかの部活に入っていなければいけないんだろ?」
俺は梨華の隣に立ったと同時にそう言う。尤も、何て言ってくるかわかっているが。
「ぼくは剣道部に入るよ。どうせ雄吾もそうなんでしょ?」
「まあな。道場も入っている訳だしな。あとは、別の部活に入って新しく装備一式を揃えるのが面倒だし」
「雄吾らしい理由だね。ぼくもそうだけど」
こんなやり取りをしていると、周りからやたらと視線を感じる。その殆どは梨華にむけられている。やはり銀髪美少女だから目立つのだろう。
「相変わらず梨華は目立っているな」
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