本郷さくらの受難

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「でもねえ、主婦って案外忙しいのよ。それに……」 「ゆずは、おひるねのじかん!」 口を挟んだのは、三歳になる姪の柚葉(ゆずは)だった。 なんて見計らったようなタイミング。 もしかして、姉さんに仕込まれた? 「そうそう。そういう訳なの。それにね、小さい子を連れて、何か危険な事でもあったら困るし……。だからお願い、さくらちゃん」 「ううん……。どうしようかなあ……」 「はたらかざるもの、くうべからず!」 あたしが渋っていると、またしても絶妙なタイミングで柚葉が口を開いた。 「……姉さん……三歳児に、ナニ吹き込んでるの……?」 「柚葉ちゃん、最近、ことわざに凝ってるのよ。真さんに似て、物覚えが良くってねー」 トボけたようにニコニコ微笑んでるけど、絶対、わざとやってるわね、これは。
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