香る身体

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『美味しい!…国分さんは料理が上手なんだ…』 渚は1人でお好み焼きを全部食べた。 その後、渚は皿を片付けソファーに近づいた。 『黒丸君、寝ちゃった?』 『何だ』 『風呂に入りたいんだけど…』 『浴室にタオルやバスローブが置いてある、勝手に使え…俺はベットで寝る』 黒丸はソファーからおり寝室に行った。 『……』 渚は浴室に行き服を脱ぐと全裸のまま湯に浸かった。 暫くして渚は湯からあがり濡れた身体をタオルで拭くとバスローブに着替えた。 そして渚は浴室から離れリビングに行った。 『……』 『圭介、いるなら返事ぐらいしろよ』 ソファーに座っていた男は背後に気配を感じ振り返った。 『……』 渚は知らない男に身体が震えた。 『誰だ、お前、圭介の男か』 男はソファーから立ち上がり渚に一歩ずつ近づいた。 『……』 再び声が出なくなった渚は動けず怯えた。 『答えれよ、圭介の新しい男か』 男は渚の手首を掴んだ。 『……』 『何とか言えよ』 男は怯えた顔で見つめる渚を見つめた。 渚は必死に声を出そうとしながら男から離れようと抵抗した。 『お前…いい匂いがするな…』 男は嫌がる渚の身体を重ねた。 『嫌だ…』 渚は顔をそらし涙を流した。 その時、黒丸が現れ男に飛びかかった。 『何だよ、この猫…離せ』 男は渚から離れ腕に噛みついている黒丸を振り離した。 『黒丸!』 『ニャー…』 黒丸は渚の前に立ち男に威嚇をした。 『よくも腕を噛みやがって、くそ猫が』 男は小さなナイフを手に持ち威嚇をしている黒丸に向けた。 『やめろ!』 黒丸が傷つけられると思った渚は男に抱きつきとめた。 『離せ』 『嫌だ』 渚はナイフを持ったまま暴れる男の身体に必死に抱きついた。 男は渚を離そうと暴れたその時、『何をしてるんだ』と言う国分の声に驚いた男は渚の腕にナイフで傷をつけ渚は倒れた。 男はナイフを持ったまま立ち上がり国分に顔を向けた瞬間、怒った黒丸にナイフを持っている腕を噛みつかれ男はナイフを床に落とした。 『裕太、俺達は別れたんだ勝手に家の中に入るな』 『…圭介、こいつがいるから俺と別れたのか』 裕太は黒丸に噛まれた腕の傷をおさえながら立ち上がると圭介を見た。
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