香る身体

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黒丸は鏡の前に立ち人間の姿の自分を見つめた。 『これで永遠に渚の側にいれる』 『黒丸…』 餌を持って寝室に戻ってきた渚は人間の姿の黒丸に驚いた。 鏡にうつっている渚に築いた黒丸は振り返った。 『渚…』 黒丸は渚に近づき抱き締めた。 渚は餌が入ったお皿を床に落とした。 『人間に戻ったんなら言ってくれれば良いのにそしたら餌なんか持ってこなかったのに』 『もう餌は要らない』 『どういう…』 言いかけた渚は黒丸に唇を奪われた。 その後、唇が離れ黒丸は渚を見つめながら『永遠にこの姿で君の側にいれる』と言って黒丸は再び渚の唇を奪った。 渚は黒丸の身体を掴みながら激しい口づけを受け入れるとゆっくり床に倒れた。 『んん…』 『……』 唇が離れ黒丸は火照った顔の渚を見つめた。 『黒丸…』 『そんな顔、圭介に見せるなよ』 黒丸は渚の素肌に触れながら身体を重ねた。 『何で国分さんが出てくるんだよ』 『圭介のお前を見る目が恋する目になっているときがあるんだ…だから…そんな顔を見せるなよ』 黒丸は腰を揺らしながら言った。 『ああ…』 渚は喘ぎ声を出しながら黒丸の身体に抱きついた。 そして渚と黒丸は床で寄り添いながら眠った。それから時間は過ぎ夜7時、圭介が仕事から帰宅した。 『電気も点けないで黒丸はいないのか』 部屋中の電気を点け寝室に行った圭介は電気を点け驚いた。 『何をやってるんだ』 『……』 圭介の声で目を覚ました渚は乱れた衣服を整え眠っている黒丸の身体を揺らした。 『黒丸、起きろ…黒丸…』 『う…ん…何だよ…』 目を覚まし上半身を起こした黒丸は圭介に目を向けた。 『渚君といちゃつくなら自分の部屋でいちゃつけ』 『圭介、俺達の関係は何だ』 黒丸は立ち上がり圭介を見た。 『ふざけてんのか、俺達は兄弟だ』 『え!』 圭介の言葉に驚き渚は立ち上がり黒丸を見た。 『渚、話がある』 黒丸は渚を連れて寝室を出てリビングに行った。 『どういうことなんだ、猫の黒丸と国分さんが兄弟だなんて』 『実は…』 黒丸は渚に天使の女に願いを叶えてもらったことや圭介の記憶を変えたことを話した。 『それで国分さんが黒丸のこと兄弟だって』 渚は納得した。
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