香る身体

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『俺に触るな!』 渚は振り返り国分を突き倒した。 『……』 国分は立ち上がり身体を震わせ怯える渚を見つめた。 『俺に近づくな、俺に触るな』 『わかったから落ち着け』 『……』 渚は怯えた顔で国分を見つめた。 『制服は破れて着られない、服を買ってくるからバスローブを着て待ってろ』 『……』 『バスローブは浴室に有るから』 国分は部屋を出てドアに鍵をかけると駐車所に行った。 渚はベットからおり破れている制服を掴み涙を流した。 その時、部屋のドアが開く音がし渚は制服を持ったまま立ち上がり身体が震えた。 『国分、いないのか』 男は全裸姿の渚に築き顔を合わせた。 『……』 渚は怖くて声が出なくなった。 『君は悠生の友達の渚君じゃないか、どうして君が』 悠生の父親は怯えて声が出ない渚の姿を見て、携帯で国分に電話をかけた。 『もしもし俺だ、今どこにいるんだ』 『買い物の帰りですが』 『早く戻ってこい』 悠生の父親は電話を切り渚を見た。 そして悠生の父親は紙に『シャワーを浴びてバスローブに着替えたら』と書いて渚に見せた。 『……』 『安心しなさい、何もしないから』 悠生の父親は微笑んだ。 渚は頷き浴室に行った。 『まさか悠生の友達が…悠生に何て言えば良いんだ』 悠生の父親は椅子に座り煙草を吸い始めた。 その時、国分が袋を持って部屋に入ってきた。 『社長!』 『国分、なぜ渚君がここにいるんだ』 『渚君って、彼のこと知ってるんですか』 『悠生の友達だ』 煙草を灰皿に捨てながら言った。 『悠生君の…』 『俺が来たとき渚君は全裸だった、それに怯えていた、なぜだ』 『社長、彼が怯えた原因は勝彦と正司がむりやり身体を抱いたからだと思います…』 『それは?』 『彼の服とズボンです』 国分はテーブルの上に袋を置いた。 その時、バスローブ姿の渚が現れた。 『……』 『渚君、俺達は部屋から出てるから袋の中にある服に着替えない』 悠生の父親と国分は部屋を出ていった。 渚はテーブルに近づき袋の中から服とズボンを取りだし着替えた。 『国分、悠生が来るまで彼のこと頼めるか』 『はい、お任せください』 国分が承知すると悠生の父親は部屋から離れ駐車所に向かいながら悠生に電話をかけた。
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