香る身体

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3回目のコールで悠生が出ると悠生の父親は車のドアを開け運転席に乗り込むとドアを閉めた。 『悠生、ラブホテルの特別室に行ってくれないか』 『ラブホテルって親父の店の?』 『あぁ…』 『何でだよ』 『手違いで渚君が連れてこられたんだ』 『渚が!』 『詳しいことは国分に聞け、俺は仕事があるから』 『わかった』 悠生と父親は同時に電話を切った。 悠生の父親は車で事務所に戻り悠生はタクシーでラブホテルに向かった。 その頃、廊下の国分はドアを少し開け声をかけた。 『着替えましたか』 国分の言葉に渚はドアに近づき小さな声で答えた。 『…着替えました…』 『中に入りますね』 国分はドアを開き中に入るとドアを閉めた。 『俺が家に送っても良いけど、家を知らないから』 『……』 『悠生君に送ってもらおうね』 国分はテーブルに近づき椅子に座った。 『あなたは香りがしないんですか』 渚は国分を見つめた。 『香り?しないけど』 『本当に?俺の体から甘い匂いが…男を誘う匂いがしませんか…』 渚は怯えながら言った。 『俺は匂いなんて感じないけど』 国分は優しく微笑みながら言った。 『……』 渚は国分の隣に椅子を運び黙って座った。 『俺の隣に座って平気?』 『…あなたは父さんや悠生とは違う…』 『喋る気になってくれて良かった』 国分の優しい微笑みに渚の胸はドキドキと高鳴った。 『勝彦と正司が君にやったこと俺が代わりに謝る、すまなかった』 国分は椅子から立ち上がり床に正座で座り頭を下げた。 渚も椅子から立ち上がり『あなたは何も悪くない』と言って涙を流した。 国分は顔をあげ『泣かないで』と言って渚の涙を手で拭った。 その光景を悠生はじっと見つめた。 『悠生君!来てたのなら声をかけてくれれば良いのに』 国分は渚を立たせながら立ち上がった。 『悠生君と帰りなさい』 国分は渚を悠生の側に連れていった。 『渚…帰ろう…』 悠生は渚の身体に触れた。 『俺に触るな!』 渚は悠生の手を払い除け睨んだ。 『渚…』 『悠生は父さんと違うと思ってたけど、俺に抱きついてきたときお前は俺を抱こうとした…俺の身体から匂いがしたからだろ…』 『渚、俺は…』 『悠生と帰らない』 渚は悠生から離れベットに座った。
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