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恐る恐る光の中に手をいれる
光の中は温かくそして物体というものはなくただ光がそこにあるだけであった
「…先生」
光の中に手をいれたまま自分の決めた名前を呟く
………
……
…
「先生」
………
……
…
さて困ったぞ。紙の指示通りに光の中に嫌々だが手を入れたし入れたままの状態で名前もいったんだが…なんの反応もない。どうしよう
いろいろ考えたが間違ったことはしていないはずだ
なのでとりあえず手を抜きまた考えることにしたのだが
「…抜けない」
そう光の中に入れた手が微動だにしないのだ
正確には光の中にはいっている手首から先までの部分が動かない
「ふんっ!」
光に入れてない方の手で入っている方の手首を掴みながらおもいっきり引っ張ってみるが全くといっていいほど動かない
「はぁ…どうしろってんだよ」
それから5分…10分…30分…1時間…
「おいおい流石に肩が疲れてきたぞ」
光は1時間前となんら変わらずに光続けそして彼の手を拘束しつづけている
この一時間の間に光に入っている手をおもいっきり引いたり逆に押してみたりしたがなんの変化もなかった
ただ1つ試していなかったこともある
それは
「…こっちまで取れなくなったらどうしよう」
と彼は自らの左手を見つめなからいった
そう今思えば紙には手をいれろと書いてあったが右手左手どちらをということは書かれていなかった
さらに言えば片方の手だけを入れろとも書いてはいない
右手を入れても反応がなかったが両手を入れれば反応があるのではないかということは片手を入れていた一時間の間に何度も考えていたことではある
ではあるがもし両手を入れても反応がなかった場合情況が倍悪くなる
その考えから今の今まで入れることをずっとためらってきた
だが他に打つ手もない
「…頼むぞ」
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