52人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
ゆっくりと彼は残りの手を光の中に入れていく
「…先生」
先ほどと同じように手を入れてから呟く
しかし同じだったのはここまでだ
今まで淡い光だった光が部屋全体を照らすように光りだした
「うわっ!まぶしっ!なんだよ…今…度……は………。」
激しい光の中どんどん意識が遠のいていった
………
……
…
「…んっ」
気を失ってからどれくらいの時間がたったのだろうか
最初にこの部屋で目を覚ましたときと同じように目の前には真っ白な天井が映っていた
最初となにも変わらない
変わっているとすれば彼の情況だけだった
「うっ…全く何だったんだ。」
目を覚ました彼は呟いたあとにゆっくりと身体をおこす
カチャ
「………ん?」
カチャカチャ
「…」
身体を起こすとき大抵の人は右手か左手を床について起きるだろう
目が覚めて己の腹筋のみの力を使って起き上がるなんてマッチョでもない限りそうそうしないだろう
そして彼もその大抵の人の中の一人だ
床に手をついて身体を起こそうとしたのだが
彼の手には
正確には彼の両手の手首には鉄製の丸い輪っかがついておりその輪っか同士を繋げるチェーンがついていた
そう皆さんお分かりだろう彼の両手には『手錠』が掛かっていた
「…嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉ!?手錠!これ手錠!?いつの間に犯罪者!?いやまてまて落ち着け俺」
スー…ハー…スー…ハー…
深呼吸をし落ち着きを取り戻した彼はどうしてこのようなことになったのか考え出した
「とりあえず気を失う前に両手を光の中にいれたな。うんここまでは覚えてる。そのあと気を失って目が覚めたらこの有り様。うんなにもわからない」
落ち着いた彼は今の状況を整理したがなにも進展はなかった
ただ回りを見渡したときに部屋の真ん中にあった光がなくなっていたことに気がついた
「状況的にあの光が何かをしてこの手錠がついたってことだよな…」
なんなんだこの手錠は。
鍵穴もないし外すこともできねぇじゃねーか。
最初のコメントを投稿しよう!