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そして外に出た瞬間に俺は叫んだ。
「元気ですかぁー!!」
俺を待ちわびていたであろう観客に向けてそう叫んだ。
「もー! 遅いよフジオ!」
「おはようフジオさん」
「フジオっち、俺も今起きた……」
「フジオさんよく寝れたようで良かったです」
「ガッハッハッハ」
俺の『元気ですかぁー!!』は見事全員にスルーされた。
こ、これは試練なのか……。
でも富士男負けないもん。
「元気があれば何でもできる。元気があれば」「はいはい元気元気。分かったからそのアゴ突き出すのやめて早速やるわよ!!」
なん……だと。
キメ台詞の途中でレオーネちゃんに軽くあしらわれ、俺の中の猪木は呆気なく敗北した。アゴも元の位置に格納された。
さらば俺に宿った漢。
よし! これまた無かったことにしよう。
俺は一旦家の中に入り、再度何事もなかったかのように外に出ていった。
「おはよう皆! さあ早速手合わせを始めようではないか」
「「「「……」」」」
「ガッハッハッハ!! フジオはやっぱおもしれー! ガッハッハッハ!!」
皆が沈黙する中、一人爆笑するボルズの旦那。
ボルズさんあなたが神か!
こうして俺のおふざけは無事!? 終了し、漸く手合わせを開始することになった。
そして、俺とレオーネちゃんは広大な庭の真ん中で向き合った。
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