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0.夢
それは、とある昼下がりの光景。
二人の少年と少女が戯れる、どこにでも見られる、他愛のない日常の一端を切り取ったような光景。
彼らが誰なのかは分からない。
だが、まるで兄妹のように仲良さげな様子である。
人のいない草原で、二人でさも嬉しそうに走り回っている。
やがて二人は疲れたのか、丘の上の桜の木の下で休む。
はぁはぁと息を乱しながら、それでも顔を見合わせてはからからと笑った。
一通り休憩すると、再び二人は駆け出し、はしゃいで回った。
草花の生い茂っている中を、走って、走って、走り回る。
そうして二人は時を忘れて、二人だけの世界を存分に謳歌した。
そして、瞬く間に時間は過ぎ去り、夕暮れ時。
「またね」と別れの挨拶を交わして、少年は独りで去って行った。
その後ろ姿は、今も彼女の脳裏に焼き付いたまま離れない。
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