第4章

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あ~あ。つまんないな。とうさまも、かあさまも、玲音も、僕に気付いてくれない…。 リビングのソファーに座って家族を眺める。 「ねぇ、とうさま。にいさまは、いつ帰って来るの?」 玲音が悲しげに小さな声でとうさまに聞いてる。 「玲音…。おいで。」 とうさまは玲音を抱き上げて膝に乗せると、優しい声で、 「莉央は…にいさまは、すぐに帰って来るよ。信じて待っていよう。」 「うん。僕、早くにいさまに会いたい。」 「ああ。とうさまも同じだよ。」 何だか…悲しい気分になった。気付かない家族に苛立ちさえ覚える。 立ち上がって写真立ての置いてあるところまで行き、一番端の写真立てを倒した。 ガシャンと写真立てのガラスが割れる音にみんな驚く。 「莉央…。」 とうさまが呟いた。 「ああ…莉央…。」かあさまも僕の名前を呼んだ。 どうしてこんな事になっているのか僕にはわからない…。だけど、みんなには僕が見えないということはわかった…。
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