389人が本棚に入れています
本棚に追加
/1017ページ
あ~あ。つまんないな。とうさまも、かあさまも、玲音も、僕に気付いてくれない…。
リビングのソファーに座って家族を眺める。
「ねぇ、とうさま。にいさまは、いつ帰って来るの?」
玲音が悲しげに小さな声でとうさまに聞いてる。
「玲音…。おいで。」
とうさまは玲音を抱き上げて膝に乗せると、優しい声で、
「莉央は…にいさまは、すぐに帰って来るよ。信じて待っていよう。」
「うん。僕、早くにいさまに会いたい。」
「ああ。とうさまも同じだよ。」
何だか…悲しい気分になった。気付かない家族に苛立ちさえ覚える。
立ち上がって写真立ての置いてあるところまで行き、一番端の写真立てを倒した。
ガシャンと写真立てのガラスが割れる音にみんな驚く。
「莉央…。」
とうさまが呟いた。
「ああ…莉央…。」かあさまも僕の名前を呼んだ。
どうしてこんな事になっているのか僕にはわからない…。だけど、みんなには僕が見えないということはわかった…。
最初のコメントを投稿しよう!