第1章

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夜中、ふと目が覚める。 そんなこと誰しもあることだろう。私も、例外ではない。 そして、ここ最近それが頻繁に起きている。 目が覚める時間は、決まって午前2時。 いわゆる、丑三つ刻といわれる時間だ。 目が覚めたとき私は、いつも自分の部屋に違和感を感じてしまう。どこか、自分の部屋ではないような 少しよそよそしい感じになってしまう。 それが気になり、電気を点けて確認するがやはりいつも見慣れた光景がそこにはあった。 無造作に散らばった本、少し古めの肌色のソファ、そして、壁に貼られたアイドルのポスター。 いつもとなんら変わらぬ私の部屋だ。 しかし、なぜか違う部屋に感じる。 部屋を見渡すと、一つ私の部屋にはないものがそこにはあった。 それは、少し汚れたクマのぬいぐるみだった。 私は、それを見つめ寝ぼけた頭で思考を巡らせその正体を考えるが皆目見当もつかない。 なぜ、覚えの無いはずのぬいぐるみがそこにあるのか。 私は、いつの間にか寝ていた。 ふと目が覚めると、いつも起床する時間。 朝日がうっすらと窓から射し込み、スズメのさえずりが聞こえる。 こんな日が、2ヶ月ほど続いていた。 いつも目が覚め、ぬいぐるみを見つけては考えそして、いつの間にか寝ている。 私は、どうせ夢であろうと思い特に気にせずにいた。 次の日も、いつもと変わらず夜中に目が覚めあのぬいぐるみを見つけた。 しかし、いつも置いてある場所にはなく私の枕元に置いてあった。 私は、そのぬいぐるみを持ち上げ『君は誰だ』とぬいぐるみに問うと、ぬいぐるみは『私はお前だ』 と答えた。 『お前の役目は終わりだ』そう話すと私はいつの間にか寝ていた。 そして、いつものように目が覚めた。 私は、仕事へ行く支度をし、玄関を出るときベッドに置いてあったぬいぐるみに『じゃあな』と言い放ち仕事へ向かった。
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