夕陽は落ちて

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時計は回る。 放課後になる。 「顔色が悪いですけれども、大丈夫ですか?」 「大丈夫です。ありがとう狭霧ちゃん」 にこ、と私は笑ってみせた。 無理がある表情だろうなと自分でも思う。狭霧ちゃんは今日一日、終始心配そうな表情だった。 転校してきたばっかりなのに、こんな気を遣わせて、申し訳なさで一杯だった。 私が青白い顔をしていることも、ちょっと震えていることも、全部きっとお見通しだろうなと思う。 狭霧ちゃんは、聡い子みたいだから。 だから尚更に、心が痛む。 私は、そんな視線すらも痛くて、「じゃあ、私、速く帰って休みますから」と、まるで逃げ出すように学校を飛び出してきてしまった。 結局、私は、焼け跡へ行くことに決めていた。 場所が近づいてゆくにつれて、心臓の鼓動が跳ねあがってゆく。 冷や汗が出て、喉がカラカラで。凍った棺を背負って歩かされているような、そんな道のり。
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