95人が本棚に入れています
本棚に追加
「逃げられると思いますか?」
そう言って、パチンと彼が指を鳴らす。私の喉から恐怖の声が洩れた。
廃墟の影から躍り出てきたのは、数人の執事達。
あらかじめ隠れていたのだろう。
彼らは間合いを持ちながらも私を遠巻きに包囲する。完全に逃げ場は無かった。
息が詰まる。倒れそうになる。呼吸が浅くなる。
怖い。
それしか考えられなくなっていた。
目の前の男が笑う。
「折角貴女を剥き身にして、散々イジめてあげたのに―――そのデータが吹っ飛んでしまったのでは、これから『協力』を要請出来なくなってしまいますからね」
最初のコメントを投稿しよう!