夕陽は落ちて

7/17
前へ
/119ページ
次へ
「逃げられると思いますか?」 そう言って、パチンと彼が指を鳴らす。私の喉から恐怖の声が洩れた。 廃墟の影から躍り出てきたのは、数人の執事達。 あらかじめ隠れていたのだろう。 彼らは間合いを持ちながらも私を遠巻きに包囲する。完全に逃げ場は無かった。 息が詰まる。倒れそうになる。呼吸が浅くなる。 怖い。 それしか考えられなくなっていた。 目の前の男が笑う。 「折角貴女を剥き身にして、散々イジめてあげたのに―――そのデータが吹っ飛んでしまったのでは、これから『協力』を要請出来なくなってしまいますからね」
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

95人が本棚に入れています
本棚に追加