夕陽は落ちて

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そう。 アレは、数ヶ月も前のこと。 私は、中島君に、体育館の裏に呼び出された。 私は、その時、彼が『そんな奴』だとは知らなかったから、何か進路の相談事だろうかと思って、出かけたら。 そこでいきなり、押し倒された。 当然嫌がる私の制服を無理やり剥いで、縛り上げ―――散々、写真を撮った。 思い出したくも無い思い出が、今、脳裏に灼熱のように揺らめいて。 もう抵抗することも出来なくなっていた。 『変な声をあげたら、サクッと殺しますよ?』 そんなことを言いながら、サディスティックな笑みで、私の首筋を締め上げたその手首。 その冷たい、死体のような掌の温度が忘れられない。 もう頭の中はいっぱいだった。 私を散々辱めた後、中島君は、 『僕は、東堂三咲を何としてでも手に入れたいので。『将を射んとするならばまず馬から』というでしょう?こうしておけば、貴女は僕に協力してくれるでしょうからね』 そう言い放ったのだ。 ―――だから私は、中島君の言う通り、動いてきた。 動かざるを得なかった。
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