夕陽は落ちて

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滑るような動きで、近くに居た執事二人が迫ってくる。繰り出される拳、そして脚。暴力のプロの動きだった。 「先輩ッ!」という悲鳴が上がる。 可愛い声だ。 だがその心配には値しない。 俺は腕を上げて構える。執事達の、殺意十割の拳と蹴りを、全てブロックして弾き飛ばしていた。 制服が破けかけるが、余りにも軽い衝撃に、俺の口からは、ひゅうっと口笛さえも漏れた。 何だこんなモノか。 俺の爺さんの三割以下ってトコロか。 マトモに相手するに値しない。 「なあ、それで本気か、てめえら」 「!?!?」 俺が無事だったのが余りにも以外だったらしい執事ども。狼狽える隙は逃さない。 回り蹴りを放った。 技を使うまでもない。単純至極な力押し。パワー勝負。 ぶち込まれた脚が、一人の執事の腹を捉える。ぐしゃりと脇腹が潰れる。脾臓肝臓がめしゃりと潰れて、肋骨を数本叩き折った手ごたえがあった。
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