夕陽は落ちて

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夕闇の中に一人がぶっ飛んでゆく。 余りにも想定外すぎる威力に後ずさったもう一人。 逃すか。 「ハッッッッッッ!!!!!!」 弾ッッッ、と踏み込む。地が震え、自分自身の声に血が震えた。 鉄山靠(てつざんこう)をマトモに浴びせた。 素人目からすれば、背中からのタックルに見えたろう。 元は八極拳の技である。 一切の容赦はしていない。背中越しに、ぐしゃりと肋骨全てが叩き折れる嫌な感触があった。「ぐえッ」と、潰れた蛙のような悲鳴を上げ、執事が血を吐いて夕闇の空に飛んだ。 二人を瞬時にダウン―――というか明らかにオーバーキル。
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