序章

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朝風にカーテンが翻る教室で、俺のヘソは曲がっていた。三次関数くらい曲がっていた。 「…もしも本当に困ったら俺に相談しろ妹」 「…だってお兄ちゃん暴力主義だもん」 「恨むなら俺ではなく爺ちゃんを恨むんだな」 そう仕込んだのは爺さんなのだからな。 だが俺自身としては後悔はしていなかったりする。モテるために始めた古武道だが、―――まあ一向にモテたためしはないのだが、妹に迫る下衆がいるなら、使うこともやぶさかではない。 まあそんな祖父の血を引く意味では妹も同じである。この妹も多少は骨があると奴だと評価はしているのだ。兄も。 余程困ったら相談してくれるだろうと信頼してもいる。 干渉し過ぎることも無いが、邪険にされ過ぎることも無いと思っている。 普通か、普通よりちょっと仲が良いくらいか。その程度か。世間の兄妹が良く分からんが。
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