不即不離

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ふわりふわり ゆらりゆらり 闇の中を不安定にさまようふたつの影。 くっつきもせず、離れもせず、ただ揺れる。 ふたつの影は、こうして見えない力に引っ張られ、動かされる。 「ずっとこのままなの?」 一方の影がつぶやいた。 「僕らにはそれが一番なんだ。くっついても駄目だし、離れても駄目。なんでかわかる?」 もう一方が言うと、ふたりとも黙りこんだ。 「わかる?だからなんだよ。」 しばらくしてやっともう一方が口を開いた。 「くっついていたら、振り回されてしまう。離れていたら、成り立たなくなる。つまり、僕らはそういう関係なんだ」 またゆっくりと近付いたかと思うと、何処からかぐいと引っ張られて元通りになってしまう。 「それが一番なんだ」
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