第16話 認めてもらう為に

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「王女様。」 周りからはそう呼ばれている。 一見敬意の表れかと思うがそうではないのは周りの対応を見ていればすぐに分かる。 例えば私が学年で成績が良くても。 「素晴らしい!流石はプロミネンス王の娘ですね!」 私がボランティアとして町の掃除をしていても。 「やっぱりプロミネンス王の教育が素晴らしいから、王女もみんなに優しく出来る優しい子に育ったんですね。」 みんなは私の事を、プロミネンス王の娘でしか見ていない。 そうじゃない、私は私!フィナというお母様から付けられた名前があるのに、誰も私の事を名前で呼んではくれなかった。 親の七光り。私はこの言葉が一番嫌いだった。 私はこの頃から王の七光りなんか関係なく、努力して何かを成し遂げた生き方に憧れを感じていた。 そして私が6歳の時、私は陰陽魔術の一つである「陽」の魔力を継承するための儀式に参加する為、家を出た。 父親にはかなり反対されたが、私はそれを押し切って半ば強引に振り切って家を出てきた。 きっと成し遂げてみせる!私は何かを自分の力だけで乗り越え、この世に名前を残したい。 その思いが、7歳の頃にやっと実現した。 「陽」の魔力を継承する為の修練。それの最終日に、100人いたテスト生は8人しか残らず、ついに最後の1人を決めるテストが行われる。 そのテストは、縦横が約30メートルほどの正方形のフィールドに8人、模擬刀一本を使った一騎打ち。 フィールドに落とすか、相手を気絶させて勝つかで勝敗が決まる。 そのテストでは、私は相手全員を気絶させて倒した。 今までの修練で精神面をかなり鍛えたお陰か、相手の動きがまるで止まって見え、その間に私は模擬刀で相手の急所に打ち込んだ。 周りの人達はそれを見て驚いていた。 中には「歴代の中でも最強じゃないのか。」とまで言われた事で、私は今まで生きた中で一番幸せに感じた。 そして私はついに「陽」の魔力を継承できる権利を頂いた。 これで私はみんなから、私自身を見てくれる。 そう思いながら、これからの未来を期待して私は継承台に上がった。
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