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継承の日は、太陽の民が一番集まる広場で行われた。
もちろん、私の父も一番見えやすい王の席で継承するところを見ているが、あんなにも反対したくらいだ。ここからじゃ表情は見えないけど、きっと今でも反対しているに違いない。
そう思いながら、私は継承台に登る。
「テスト生のフィナ・プロミネンスよ。これよりそなたに陽の力を授け、新たな継承者としての権利を与えよう。」
そう言うと、役人4人が布で被せた何かを荷車に乗せて持ってきた。
何やら人の顔ほどある玉のようなものが被せてある。
その布を取ると、「陽」とだけ書かれた玉が乗せられていた。
「前任者は次の継承者が現れるまで、力をこの様に玉にして保管していた。だが、継承者が現れる事でその力が解き放たれる。」
すると、陽と書かれた玉からヒビが入り、そのヒビはどんどん大きくなる。
「さあ、継承者よ。そのまま手を玉に乗せ、そして力を取り込むのだ。」
私は言う通りに玉に手を乗せた。
すると玉は一気に割れ、そこから強烈な魔力が漏れ始めた。
あまりに強烈な魔力は周囲の人たちも思わずたじろいでしまうが、すぐに収まった。
私はその力を取り込みたいと願う事で、玉から漏れ出た魔力は手の平から体内に侵入していくのが分かる。
そして、完全に魔力が入った事を感じると私は割れた玉から手を離した。
違和感はない。けど体から力が溢れてくる。
これが陽の力。これから私は、「陽」の継承者。
そう感じると私は、「おぉー!!!」とどういった感情なのか自分でも分からず全員の前で雄叫びをあげた。
一瞬時が止まったかの様に静かになったが、数秒後、周囲の雄叫びもあがる。
その中には思わず王である私の父も雄叫びをあげていた。
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