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儀式の日から数日後、私は気になって陰の継承者であるシドと個人的に話がしたくて会う約束をした。
喫茶店のような休憩所で先に入って待っていると、数分後にシドが来た。
「すみません、時間かかりましたか?」
「いえ、大丈夫です。私もさっき入ったばかりですので。」
少し慌てて店に入ってきたシドは私に頭を下げて席に座る。
その後お互い冷たい飲み物を頼み、少し汗が引いたのを感じるとシドから話を切り出した。
「えっと、話とは一体何ですか?」
「…あなた、その力をどういう目的で手に入れたの?」
「どういう目的って言われてもなぁ。フィナさんはどういう目的ですか?」
私は周りから認められたい為に陽の力を手に入れた。
それ以外に手に入れる理由は。
「私は私自身を認めて欲しいから。王女としての立場ではなく、私というフィナ・プロミネンスとして見てほしいの。」
「だから、陽の力を手に入れて強くなりたいと?」
「そう。父と別の力を手に入れる事で私は王の娘としてではなく、陽の継承者のフィナとして見てくれるのよ。それが私にとって…」
「それって、何も変わってない気がしますね。」
私の発言を遮る様に、シドは口を挟んだ。
「えっ?」
「それって、王女様から(珍しい力を手に入れた人)に呼び方が変わっただけだと思います。」
「そんなわけない!だって、私はそのお陰で変われたし…」
「戦いの強さは確かに変わりましたよ、僕もフィナさんも。けど、それだけです。どんなに強くなっても、弱い心を変えるのはとっても難しいんです。」
「少なくとも僕は…」
シドはそう言うと少しうつむきながら飲み物を飲んだ。
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