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シドの発言に私は意味が分からなかった。
私よりも強く、先の事を考えられる人がよりによって父の様になりたいと言うのだ。
「なんで私の父なの?あなたはもっと強い人間のはず!目指すべき人を間違えてるわ!」
「あの人は強いよ?太陽の民の王は魔力なら僕とフィナさん以上だ。それをまさか知らないなんて言わないよね?」
「え?」
「太陽の民の魔力は、太陽そのものと呼ばれるほど魔力に満ちているんです。その中でも太陽に近いとされる王は太陽に一番近い力を秘めているんです。王女なのに知らなかったんですか?」
知らなかった。太陽の民の王にそんな力があったなんて。
「けど、僕があなたの父に憧れてるのはそんな見た目の強さではない。あの人が持つ太陽のような広く、太陽の様に優しい心です。」
「広い…心?」
「人を見下せず、同じ立場で物事を見れる器の大きさ。強さを見せずに周りから認められる人望。そして何よりあの方は、僕の様な下の人も理解して手を差し伸べて下さる。それは強さを手にする以上に難しい事なのかもしれません。」
強さとは何か、認められる為には何が必要なのか?
誰かに認められる為には何をするのが一番良いのか。
私自身、今まで何度考えても出てこなかった答えを、シドは父に例えて答えてくれた。
私の父、太陽の民の王は確かに面倒見の良い人で困った人をほっとけないお人好しな性格だ。
けど、そのお陰で父は民の信頼を得ているのかもしれない。
「あなたの父は言ってました。魔法は力の為にあるのではなく、相手の心を救うものだと。僕はこの"陰"の力で色んな人の心を救いたいです。」
シドの真っ直ぐな想いと目に、私はどうやら根負けしてしまい。
「私の負け。あなたみたいな理想を熱く語る馬鹿正直で変な人、生まれて初めて見たわ。」
「それ、褒めてませんよね?」
「けど、少なくともあなたは正しい事を言ってる気がする。少し私も考えが変わったみたい。」
そう、私はこの日から考えを変えた。
力としての強さではなく、心としての強さを主張するシドの生き方を自分でも実践しようと考えた。
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