第16話 認めてもらう為に

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あれからシルフの魔導兵になって1年。 初めて自分の故郷を出て、大国シルフという大きな国に来た当初はとても萎縮していたが、今ではすっかり国に馴染んでいた。 先程魔導兵と言ったが、まだ11歳と若く子供であるという理由でまだ見習いの立場だけど、それでもみんな私の事を魔導兵の1人として接してくれている。 とても嬉しい事だ。 まだ見習いなので大きな仕事は任せられておらず、私は国王を守る為に王宮周りを巡回していた。 そしてその隣には私をこの道に入るきっかけをくれた(陰)の継承者、シドがいる。 彼も私と同じで魔導兵見習いの立場であり、同じ様に王宮周りの巡回を一緒にしたり、その他雑用業務をこなしていた。 「ご苦労である!シド見習い兵とフィナ見習い兵!」 この声は先輩魔導兵の声だ。私達の巡回時間が終わり、交代を知らせに来てくれた。 「「お疲れ様です!これにて巡回の任務を終了させて頂きます!」」 私達はそう言って王宮周りの巡回を終え、次の任務を頂く為に王宮の中に入っていく。 といっても、 「流石に5時間立ちっぱなしは足が痛いわね。」 朝の6時からずっと王宮周りを歩き回っていた為、眠気に加えてふくらはぎ辺りの筋肉が少々限界であった。 「これしきの事でへばるなんて、フィナらしくない。」 「へばってないわよ!でも、いつまで巡回とか雑用ばかりをやらされるんだろうね?」 「さあ?俺達は魔導兵。王の命じた事に従い、国の為に働くだけだ。」 「国の為ね。…だったらもうちょっと実感の出る仕事を与えてほしいわ。」 そんな事をぼやきながら王の居る扉まで辿りつき、扉を開けてもらい玉座に座る王の前に2人はひれ伏した。
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