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王室間は広く、ひれ伏してるフィナ達の前には20段程の階段があり、赤いカーペットが階段の上に引かれていた。
それはまるで中世のヨーロッパに近い宮殿の王室間の様である。
そしてその上には金の玉座があり、そこに座っているのは大国シルフの3代目国王、シルフ・ベルトラス。
今では絶対王政の名の下に独裁的な政治を繰り広げる男であるが、この時は違った。
シルフ王はひれ伏してるフィナ達に
「いつも巡回ご苦労だな。フィナ、シド。」
「「お褒めの言葉、ありがとうございます。」」
ひれ伏したまま返答する2人。
「顔を上げなさい、2人とも。」
シルフ王の発言通り、顔を上げる2人。
するとシルフ王は玉座から立ち上がり、階段を降りて2人の前まで来た。
すると2人の顔を見ながら言った。
「君達はやはり若いな。あまり疲れてないところを見ると、今の巡回や雑務は退屈であろう?」
ギクッ!!
心を読まれた!?と思わんばかりに心の中で驚くフィナ。
それに気づいたシルフ王は少しニヤケ顔になりながら笑顔で言う。
「フフフ、やはり図星だな。確かに君達はこの国にとって大きな戦力になる上に他国への抑止力としての役目も担っている。本来雑務などをする立場ではない。しかし…。」
「その力が必要な時というのは、それこそ国にとって最も危険な時だ。そういう事態になった時はやはり君達の力が必要になるが、私はそうはなって欲しくないと思ってる。どうしてだか分かるかい?シド。」
突然シドに問うシルフ王。それに対してシドは。
「はい!その様な事態というのはつまり、国の危機。国王や国民達の命が危ぶまれるからだと思います。」
そう返答したが、しかしシルフ王は首を横に振り。
「それもあるが、それだけではない。」
「私はね、君達の様な子供が戦争というものを経験して欲しくないんだよ。今ある幸せを、大切にしてくれたらと思ってる。」
シルフ王はフィナ達に対して笑顔でそう言った。
するとシルフ王は王室間にいる魔導兵の人に自身のコートを持ってくる様に伝え、それを羽織り始めた。
「そうだ。2人に今から重大任務を言う。今から私は城外に出るが、2人には私の護衛を頼む。これなら、不満では無いだろ?」
シルフ王は少しふざけた様な笑顔でそう言い、2人に護衛を命じた。
2人はシルフ王のちょっとした破茶滅茶な発言にポカーンとしていたが、すぐに承諾して護衛の準備をした。
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