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そして納税の取り立てはすぐに始まった。
国に納める税は今までそれ程多くはなかったが、今回の軍事力強化によって2倍以上に増えた。
それらの税は今後戦争が起こった時の軍事費として使用されるのである。
勿論突然の増税で反対する市民も多くいたのだが、それに対してシルフ王は聞く耳持たず、反逆者として市民を殺す様に命じて見せしめにした。
勿論、納税の期日に少しでも遅れた者に対しては厳しい罰が与えられ、財産の差し押さえや王宮に連れ出された者もいる。
それを取り締まる役割を魔導兵達が担っていた。
「頼むよ!来月には今月分のと一緒に納めるからさ!」
納税を待って貰う様に頼み込む商人が魔導兵に涙を流しながら土下座していた。
「ダメだ。納税は期日までにきっちり守って貰う。これはシルフ王の決定だ。守れない者は王宮へ連れて行く。」
「待って下さい!私には家族が居るんです!お願いします!もう少し待って下さい!」
「連れて行け。」
後ろにいた魔導兵が2人掛かりで商人の男を連行する為に両腕を引っ張った。
突然の増税によって払いきれない者たちが沢山現れており、何人もの国民が罰を与えられた。
そしてこう叫ぶ者もいた。
「どうして急にこんな事をされるのですか!?あれ程優しかったシルフ王が何故こんな…」
そう叫ぶ者は当然見せしめの為に目の前で撃たれた。
魔導兵である者は誰もがそう思っていた。王に直接聞きたかった。
絶対王政の中でも国民達の気持ちに寄り添ってきたシルフ王。
そのシルフ王の突然の変貌ぶりに魔導兵達は困惑していた。
そしてシルフ王の絶対王政による独裁はどんどんエスカレートしていくのである。
それは月の民という月の遺跡で暮らす民族を数名連れてくる事である。
この民族は昔までは世界最古の民族としてのしきたりに厳しいと言われている。
太陽の民と対象的な名前であるが特に接点はなく、太陽の民達と違ってあまり他国と共存してないイメージだったが、最近になって月の民の長である者がシルフの王に共存の道を提案している。
そしてシルフ王はその共存を受け入れる為に月の遺跡へ魔導兵を派遣し、共存の一歩としてシルフへの観光を勧めたのだ。
その考えには多くの魔導兵達も賛同する者が多く、シルフの良い所を直接見て貰おうとするのは以前の王らしいなと思っていた。
しかし、現実は違った。
観光に来た数名の月の民達は2泊3日のはずだったのだが入国してから王宮に入り、それから1週間月の民を見た者は居なかった。
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