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そして月の民殲滅戦によってシルフの魔導兵の精鋭部隊と、他国の名だたる魔導士。それらが各戦力に合わせてチーム編成を行い、月の遺跡に攻め込んだ。
フィナとシドはその日一緒に居合わせて居なかった。
多分チーム編成によって別々のチームになったのだろうと思っていた。
月の遺跡。遠くから見ると砂漠に面した場所にポツンと一つの石造りの街が見えるだけ。
シルフの様な大きな建物があるわけでも自然豊かな環境でもないシンプルで過酷な砂漠の環境。
そこで今、私達シルフの者は月の民と戦争(殺戮)の真っ最中だった。
「た、助けて…」
ドカァン!
火属性の魔法による激しい爆発が月の民の言葉を掻き消し、爆風が辺りの建物を吹き飛ばす。
黒煙が至る所から立ち昇っている。
他の場所でも、同じ様に戦っているのだろう。
しかし月の民は(妖力)と呼ばれる特殊な魔力で物質と同化する事が可能であり、体を石の様に硬化させて攻撃を守り、反撃する者も居た。
また、月の民の恐ろしい所は妖力ではなく過酷な環境が鍛えた純粋な身体能力である。
「くそぉ、月の民どもめ!どこへ隠れやがった?」
人気のない路地裏の様な場所で隠れてそうな月の民を1人で探そうものなら、その魔導士に命はない。
路地裏に風が吹き抜けると同時に喉笛を切り裂かれる。
物量戦では圧倒的に大国側が有利であるが、個人戦や肉弾戦になれば月の民は本領を発揮し最初は互いに苦戦を強いられていた。
「月の民の妖力ってのはめんどうだな。何より奴ら速過ぎて銃なんて当たらねえ。」
「しかも奴らは常人の力を遥かに凌ぐ腕力だ。1人で行動したら必ず殺されると思え!」
別の大国側の殲滅チーム部隊長が後ろに付いてくる部下に注意を促しながら月の民の生き残りを探す為に進んでいく。
ガサァァッ!!
「な、何だ!」
突然地面が殲滅チーム全員を囲う様に襲ってきた。
そしてその土の中に囚われた全員は囲われた地面によって圧殺され、地面から血が溢れて飛び散った。
これは月の民の妖力によって地面と同化し、地面を自在に操る事で人を閉じ込め、地面の中に生き埋め状態となった人間を握り潰したのだ。
「先ほど向かった前方殲滅チームがたった今、月の民によって壊滅的な被害を受けました。」
前方殲滅チームからの伝達が作戦本部の無線機に流れる。
そして本部の上官達は再び作戦を練るのであった。
「やはり奴らの物質と同化する妖力というのは厄介だな。このまま突撃しても返り討ちにされるのがオチだな。」
「やはりあの"兵器"を使うべきでしょうか?」
「いや、その必要はない。先ほど別の前方殲滅チームから連絡があった。"陽"の継承者がそっちへ向かってるそうだ。」
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