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ーやめて!お願い、やめて!!
ー死にたくない…死にたくない…。
ー痛い、痛いよぉ…。お母さん!助け…。
ーどうしてこんな事をするんですか?私達があなた達に何かしましたか!?
ーお前らは絶対に許さない…きっと天罰が訪れる…まあ死ぬまで怯えてるがいいさ…いずれ月の神が必ずお前らを裁……。
「うぁああああああ!!………やめて…もう…聞きたくない…。」
ここはフィナの部屋の中。殲滅戦が終結し自分の部屋に戻ったフィナは疲労によっていつの間にか寝てしまっていた。
しかし2時間の睡眠後、殲滅戦で聞いた月の民の言葉や殺した時の感触、爆発音などが頭から離れず思い出してしまい、半狂乱状態で耳を塞ぎながら悶え苦しんだ。
「もう…やめて下さい…許して下さい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめん…なさい…。」
こんな事を口にしたって失った命は戻らない。
あの黒魔道士と離れてからでも殺した月の民は大勢といる。
何人かはもうちゃんと覚えてない。殺した人の顔さえも私はちゃんと把握していない。けれど、殺された人の言葉が耳から離れずこびり付いている。
それに剣に伝わってきた人の感触はずっと残ってる。
汚い、汚い、私の手はもう血で赤く染まってる…もう取り返しがつかない…。
人を殺すとこれ程辛いなんて、自分で殺した癖に…もうどうやってもこの罪を消す事は出来ない。
何の為に人なんて殺したんだろう?今回の戦いが国の為になったのか?こんな事をする為に私は魔導兵になったわけじゃない!
「もう、私…何の為に魔導兵になったのか…分からなくなってきた。」
ベッドの上で左手で膝を支えながら三角座りをし、右手で前髪をグシャっとしながら自分の両目を覆った。
「教えて…シド…。」
それからフィナは就寝する事なく苦しみは一晩中続いた。
殲滅戦終了後、しばらくの間フィナは3時間以上眠りにつくことが出来なくなった。
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