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大国の中心から黒い何かが線となって空を昇り、上空で広がりながら国全体を覆った。
その日はまだ正午を過ぎたばかりでありながら、突然夜の様に辺りが暗くなる。
しかし空だけが暗くなったのではなく、周囲からも黒い霧状の物が発生し人々を包み込んでいく。
そして少しずつ、少しずつ霧が晴れていき正午の明るい空へと戻っていき、辺りはいつも通り…
「何…どうなってるの?」
シルフの街並みや風景は一切の変わりは無かった。
しかし、明らかに可笑しい。
何で、誰1人としてその場から動こうとしない?
動くどころか顔の表情までもが固まったまま動かない。一部の魔導兵も同じ様にその場から動かなくなっていた。
動ける者はフィナとフィナの周囲に居た十数人の魔導兵のみであった。
「何が起きたの?何で、私達以外の国民は動かなくなったの?」
「分からないです…しかし、助かった者は皆フィナ様の近くにいた魔導兵だけです。」
それも分からない。分からない事だらけだけど、まずは周りの人達の安否確認を。
フィナは目の前で固まって動かなくなった人の前で手を振りながら状態を確認する。
「もしもし!聞こえますか!聞こえたら返事して下さい!」
しかし、手を振って声を掛けても返事一つ返ってこない。
体を揺さぶっても、強く叩いても一切の反応を示す事はなかった。
「だめです、フィナ様!こっちの人ももぬけの殻の様に反応しないです。」
「何で急にこんな…こんな事…」
意味の分からない状況にフィナは拳を握りしめる。
…あの黒い霧は一体何だったのか?
大国の中心から発生した黒い物が上空で広がった。
大国の中心はちょうど王宮前の広間であり、ここからだと丁度2キロ程離れてる。
フィナ達は中心と思われる広間へ走って向かった。
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