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そして感情のないハイドは更にとんでもない事を言ったのだ。
「それと、この事が他国に漏れればそれだけでこの国の脅威となる。この事は何人たりとも知られてはなるな。全力で隠し通せ。」
「何を言ってるんですか?人が動かなくなってるんですよ!?これを隠すなんて…」
「私が新たに思考を与える。それで国民は動ける様になる。」
「思考を与える?…何よそれ、馬鹿にしてるの!?人の思考を奪って新しい思考を与えるなんて、あんた達が国民の考えを思い通りにしたいだけでしょ!」
「これは仕方のない国としての処置だ。思考があれば人は考えて行動出来る。そして統一された思考はこの独裁国家において絶大な効力となる。一石二鳥ではないか。」
この言葉に完全に頭にきていたフィナは血相を変えてハイドを睨む。
「…ふざけるな。何が一石二鳥よ!お前らがグルだって事は分かってるんだ…この国に害を為す悪魔め。今ここで殺す!」
そしてフィナは縮地でハイドの間合いを詰めて剣を振おうとする。
しかし、ハイドはすぐさまフィナの顔の前に掌を向けた。
ハイドの掌を見たフィナは突然体が止まってしまった。
そしてハイドの手が上に向けられると同時にフィナの体は宙に浮かされ、手を握りしめると同時に体を締め付けられたかの様にフィナは苦しんだ。
「ぐぅ、カハッ…ああぁ!!」
「くどいぞ、小娘が。2度は無い。私の言う事はシルフ王の言葉と思え。」
「くっ!…」
宙に浮かされながらもハイドの方を見て睨みつけるフィナ。
「お前、本当に反抗的だな。よかろう、お前は地下牢で頭を冷やせ。おい、そこの魔導兵達よ。こいつを地下牢に入れろ。これは命令だ。」
ハイドは後ろにいた魔導兵の方へ振り返り、そしてフィナにした様に掌を魔導兵達に向けた。
そうする事で最初は拒否しようとした魔導兵達は命令に対してすぐに動き出し、フィナを拘束して連れて行こうとする。
「離して!何で急に…」
しかし、フィナの言葉に対して反応がない魔導兵達はそのままフィナを地下牢まで連行して行った。
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