第17話 戦争による代償

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国の為に死力を尽くして働いてきた者が今現在、地下牢に幽閉されていた。 何で、私が…国を想って働いていた私が、地下牢に入れられてるの? 私は何か間違いを犯したのか? フィナは地下牢の中で何度も自分に自問自答をしていた。 既に地下牢に入れられて1ヶ月経っていた。 フィナの精神は不安定になり、今にも壊れそうになっていた。 すると地下牢の前に1人の魔導兵が鍵を持って現れた。 「これより、ハイド様の命でフィナ様を釈放します。」 牢の鍵を開けるもフィナはしばらく座ったまま立ち上がらなかったが、ゆっくりとお尻を上げてからヨタヨタと牢を出た。 「私はどれくらいの時間、あそこにいたのですか?」 質問するも、返事は返ってこない。 この魔導兵はネルの魔法によって精神を奪われて動かなくなったが、ハイドに新たな思考を与えられた事により再び動ける様になっている。 しかし、ハイドに与えられた思考により必要以外の返事は返ってこない仕組みになっている。 この事がきっかけでネルは今後一切この国への入国を禁じられた。 だから何故ネルがこの国に居て国民に危害を加えたのか、今となっては真意は分からない。 地下牢から出たフィナはハイドに操られたシルフ王の命により、引き続き魔導兵としての任務を任された。 周囲の魔導兵達はフィナが釈放されたにも関わらず、祝福する訳でも罵倒するわけでもない。まるで何事も無かったかの様に振る舞っていた。 恐らく、既にハイドが思考を操ってるのだろう。 当然、国民も同じ様になってると思う。 「これより、国内の見回りの任務を遂行します!」 こう言って外へ出ていく口実を作り、国民の様子を確認しようとした。 しかし、そう言うとハイドが近づいてきてフィナの耳元でこう言った。 「変な気でも起こしてみろ。お前の思考はいつでも変えられる。俺がいる限り国外へ出る事も許さんからな。」 それだけを言い残された私はそのまま見回りに行った。 国外へ出るな。それは、もう太陽の遺跡に居る私の父にも会えないと言う事にもなる。
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