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ピピピピピ━━
朝6時32分、俺は目覚まし時計の音で起きる。
目覚まし時計を止めようと伸ばした腕は不思議な感触にあたった。
翼だ━━。
なぜ俺のベットに翼が置いてある、いや、翼の生えた生物が居るのか全く覚えがない。
よく見ると人型の胴体を持っているようだ。
「おはよう、如矢君」
聞き覚えのある声だった。
「ん?あぁおはよう、怪音、お前どうしたんだ?朝からコスプレか?」
「うぅん、違うよ。実は・・・」
「実は?」
「・・・隠してたんだけど、私人間じゃないんだ、天使なんだ」
衝撃の一言だった、たっぷり10秒停止した俺の口から溢れた言葉は━━━
「はぃ?」
いつもの悪ふざけを馬鹿にするような聞き返す言葉だけだった。
瞬間、怪音の右腕にひび割れのような赤い魔法陣がいくつも出現し、形を変えてゆく。
俺はどうしたらいいのか分からずただ呆然と眺めていた。
「如矢くん、お願い私を殺して、じゃないと私がこの街を、この世界を壊してしまう」
「えっいや、でも天使ってことは良い奴だろう?悪魔ではないんだろう??」
「うん、悪魔ではないよ、だけどね、天使が必ずしも善だとは限ラナインダ」
「怪音っお前、声がっ!?」
「ごメんね如矢君、辛い思イさセルケど私ヲソの槍で貫イて」
いつの間にか俺の手には長さ2mほどの槍が握られていて、青い電流が走っていた。
━━━━俺に怪音を殺せる訳がないっ。
そう思っていたのに一瞬後には俺のベットは鮮血に染まっていた。
「嘘だろ・・・おい怪音、怪音!!」
「・・・ァリガ・・・。」
「おい、これ俺が殺ったのか・・・俺が怪音を?そんな馬鹿なっ」
━━━━さよなら如矢君。
脳内に怪音の声が響く。
そして俺の右腕には青い魔法陣がいくつも描かれていた。
これが全てのはじまりだった。
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