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「可愛いお二人さん、何か御用かな?」
「穂高先輩。その節はご迷惑をお掛けしました」
「ああ。萬千年君か。気にするな。君のような将来有望な成績優秀者が我が生徒会に興味を持ってくれたなら、有り難い限りなのだがね」
「いいえ。勿体ないお言葉です。校内でも『氷の女王』として多くの生徒から信頼される穂高先輩に言われてしまっては、褒め殺しにしか聞こえませんよ」
「はは。そうか。君にはそう聞こえたか。
私なんて取るに足らない人間さ。
で、そっちの変わった少年は?」
穂高生徒会長は骨格と言い背丈と言い、日本人離れしていた。
目線の高さにある豊満な胸部に圧倒されながらも、自己紹介を試みる。
「一年の無神 鮎夢と申します。穂高先輩にお伺いしたい事があってお伺いしました」
「構わない。しかし悪いが忙しい。
ここで聞こう。端的に頼む」
「では質問の前に一つだけ。
本日の歓迎会で壊れたスポットライト。
あんな『誤摩化し』はどうかと思います」
穂高生徒会長の表情が強ばる。
「大きな声では出来ない話だな」
生徒会長がスカートのポケットから金細工の眼鏡を出す。
とんでもない所に眼鏡を収納している。
金色の眼鏡の下で、長い睫毛が蝶のように羽ばたいた。
「榊マリコ副会長。イレギュラー対応がある。暫し頼まれてくれないか」
「もう。早く帰って来て!」
他の三年生に後を頼み、穂高生徒会長が俺たちを外へ追い出すように促す。
「すまない。廊下に出ようか」
扉を後ろ手に閉める。
「お茶も出さずに追い出すようで悪い」
「いえ」
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