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「少年。そうだろうとは思ったが、単刀直入に聞いてくれたな。私も少年に倣って簡潔に聞くが、あんなやり方、というのはどういう意味かな」
名前は少年で確定ですか?
「入学式の前日リハーサル以前にスポットライトは壊れていたんだと思います。
前日に壊れたというのは、穂高生徒会長のついた嘘です」
「というと?」
「二週間前リハ時点で、あのスポットライトは壊れたのではないでしょうか。
三年生の放送部員が一人しかおらず、しかしその三年生が体調を壊して休んだ。
けれども歓迎会の通し稽古は行わなければならなかった。
それで、生徒会の三年生と、二年生の放送部員とで不慣れながら、スポットライトを使った。その際に不備があって、壊してしまっていたのだと思われます」
「分からんな。二週間前リハーサルで壊れていれば、私たちは早くに動いていただろう。昨日今日とでこんなに多忙になる必要をわざと創ったとでも言いたいのか? それにだ。ライトがリハ中に壊れたとして、参加している部は多い。すぐさま露見するはずだが?」
壁に背中を預けて、片足を組む穂高生徒会長。
黒いストッキングだけでも目に毒だというのに。
スカートの下からガーターベルトがちらりと覗く。
うわあ。
「あら。貴方様、答えないのですか?」
背中越しに、とん、と細くて固いものが当たる感触。
千年の、蛇の万年筆だろう。
【質問一回目】
「え………っと。スポットライト二基は、そのリハの最中に壊れたのではありません。リハ前に壊れていたのでしょう。流石に、リハ中では誤摩化せませんからね。
実際に誤摩化すとなれば、放送部と生徒会の意思疎通のみで可能だったんです。
スポットライト演出を各部活との打ち合わせで決め、歓迎会の演出などを担当するのは『生徒会』でしたよね?」
「ああ。その通りだ」
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