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「スポットライトは強い光を集約させ、一点に放つ機能を持っています。こんな天気になると分からなくなってしまいますが、今朝のように天気の晴れ渡った日であれば、その二台の壊れたスポットライトは、強い光を反射する『鏡』にも成り得ます。
あらぬ方角から放たれた、強い反射光に目を当てられて、入学式の新入生挨拶で萬は思わず驚き、止まった。
最前列の生徒たちには恐らく見えていたのかもしれませんが、俺たち後ろの席の生徒には良く見えませんでした……恐らく、壇上に鋭い光が放たれたのを見た生徒もいたかもしれません。
だがそれは一瞬だった。
俺たち生徒がざわついて振り向いた頃には、太陽は雲で翳っていたんです。
萬にしても同じでした。スポットライトの強い光を当てられて驚いたものの、集中して暗記していた言葉を読み上げていたのを止めて、光った方角を見詰めたが、もうそこには何もなかった。焦ったことでしょう。それで、原因が分からなくなってしまった」
何故か分からないが言葉が止まってしまった理由。
それが『盗まれた』挨拶の真相だろう。恐らくは。
「こちらに、そんな大仕事をやる意義はあるのか?」
「そうすることで、自分たちに有利になるよう事を運ぶ必要があったからです。……萬、あのパンフを貸してくれ」
「はい」
これです。と穂高生徒会長にそのページを示した。
「チアリーディング部の予算を、本年度以降には削る約束を取り交わしていたのではありませんか?」
「少年。事前の相談は規約違反だ」
だろうな。
ていうか、名前………まあいいか。
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