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「聞いていますか?」
「聞いている」
「話を右から左に受け流す気力を、窓から飛び降りる気力にお使いになったら如何でしょうか」
「そんなに俺との関係を永遠のものにしたいのか」
死を願われる。裏を返せば、死を願ってしまうほどに狂おしく一人の人間として想われていると解釈すべきなのだろうか。幸福極まる提案だが、お断りさせて頂きたい。
「この屋上前の踊り場を『部室』と呼ばわる、生産性に満ちた提案は却下された」
いわく、教室以外での部活動は原則として禁止されている。共用の空間を占有するために事前の申請を出さねばならず、部室としての利用は認められていない。とのことだった。
「他の部が使っていない教室は一つとして残っていない。よって、万策は尽きた」
「それなら部室を奪いましょう」
「え?」
そのときだった。
周囲の物音をぶっとばすように、爆音のトランペットが、何やら聞いたことのあるような有名な曲の旋律を演奏し始めた。
何処で演奏しているのか………。
うるさいこと、この上ない。
屋外というには音は近くに聞こえるような気もするが、屋上は自殺と転落事故防止のために施錠されているはずだが、やけに爆音のトランペットの音は最上階のベランダで奏でられているにしては、音の源が近くにあるように聞こえた。
屋上に続く扉のドアを試しに回してみるも、やはりガチャガチャと鈍い金属音をさせるばかりで開く気配すらなかった。
それにしても。
音がでかいのが耳につく。
曲名が思い出せないが、旋律には聞き覚えがあった。
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