謎×弐『亡霊探しの放課後』

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Die schoenste Jungfrau sitzet Dort oben wunderbar, 美(うる)わし少女(おとめ)の 巌(いわ)に立ちて Ihr goldnes Geschmeide blitzet, Sie kaemmt ihr goldenes Haar. 髪の乱れを黄金(こがね)の櫛とり Sie kaemmt es mit goldenem Kamme, Und singt ein Lied dabei; 梳(と)きつつ口吟(ずさ)む歌の声の Das hat eine wundersame, Gewaltige Melodei. 魂(たま)も迷う 神怪(くすし)き魔力(ちから)に (Heinrich Heine,Friedrich Philipp Silcher “Die Lorelei” ) (訳詩 近藤 朔風による)  悲しげに思い人を恋う、郷愁ある旋律。  悲哀の込められた歌唱力は素晴らしく、まるでミュージカルだった。  ぱつぱちぱち。明が潤んだ目で拍手する明。  悦に入るドイツ人青年とヘアピンチビの世界だった。  萬と俺は呆気に取られていた。  鴉の鳴く声が聞こえてくる。 「ハイネの詩を歌曲にした『ローレライ』ですね」
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