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「ヨハンは『消えたローレライ』を探して欲しいんだってさ!」
「ローレライ………」
千年の表情が硬くなる。
ドイツ語でいうところの人魚こそ、ローレライだ。
元はライン川に存在する巨大な岩を『ローレライ』と呼んでいたとされる。ローレライの付近は急流かつ目に見えない水面下の岩が多く、船の座礁事故が多いポイントだったことから『人魚によって見初められた男たちが船を沈められて死んでしまった』ローレライ伝承に繋がっていったとされ、ローレライと言えば岩の上で髪を梳くドイツの人魚の名として知られるようになった。
ドイツ人青年ヨハン・ファウストが、八百比丘尼伝説のただ中にある千年の出自を知りはしないだろう。
けれども、ローレライという言葉に反応せざるを得ない。
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