謎×弐『亡霊探しの放課後』

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「Flauヨロズ、頼みは一つデス。  ワタクシはあの子に、想いを伝えたいのデス。  交際を申し込みたいを伝えたいのデス。  あの子の名前、気持ちを、ワタクシは知りたいのデス。  伝えて、教えて欲しいのが答えなのデスよ」 「承知しました」  片思いの女の子を探したい、か。  想いの一途さは伝わった。  不幸の欠片も感じない淡い恋物語は、不幸集めの俺には苦手分野だ。  これは難儀しそうだ。 「俺を忘れてないか。ヨハン君」 「Oh! ずっといたデスか?  どちら様デス?」 「無神 鮎夢! 隣のクラスで秘密倶楽部の部員なんだけど!」 「Oh! 無神君はキャラ薄いデス。黒子テツヤの真似デス?」  四週を待たずに打ち切りになりかねんブラックジョークは止めろ。  日本の伝統ある読者投票制度を舐めるなよ。 「人探しをするにしても、何処の誰かも分からないんだろ?」 「隠し撮りした動画ありますデス」 「え」  自分で盗撮を暴露する男を、俺は生まれて初めて見た。  ドイツ国内では好きな女子を盗撮する高校生が一般的なのか? 「ファウストさん。日本では盗撮は犯罪に抵触したかと思われます」 「ワーオ。  驚き桃の樹、桃尻三年、ガキ八年、柚子は九年で成り下がる、梅は酸いとて十三年、梨の大馬鹿十八年、新事実なのでカルチャーショックに驚愕デス」  棒読みダウト!  ドイツでも犯罪だよな多分! 「二度とするんじゃねえぞ」 「………」  無視かよ。 「ファウスト。動画を見せて貰えるか」 「Ja」  液晶画面には、スカートから覗く二本の生足。  膝丈のスカートからパンツが見えそうで見えない絶妙なアングルだった。  イタリア料理が低価格で食べられる、あの店のテーブルの下だろうか。 「膝の記念撮影、ハイデルベルクでは人気ありますことデスよー」
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