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おもむろに動画再生が停止される。
タッチパネルを操作して別の動画を探し始める。
「ヨハンの国は下からパンティー見て人を判断するのー?」
「Jain」
「………やいん、とは?」
「んーと。Ja(はい)とNein(いいえ)の中間じゃないかなー?」
「どっちだよ!」
都合が悪くなるとドイツ人に戻る。
別の動画が再生される。
鞄に忍ばせていたスマホからの盗撮と思しき映像。
ゲームセンターでのやり取りだった。
少女は首から下だけが映し出されている。
アニメのコスプレなのか、少女はアンティークドールが着ているかのような真っ赤なロリータファッションに身を包んでいた。
ファウスト青年が鞄を荷物置きに投げ捨てる。
アングルが上向きになり、少女の顔が画面に映る。
『どれ取るデスか?』
『………』
返事せず、プライズを指差す少女。
年は十三、四か。
あるいは小学生にも見える、幼い目鼻立ちだ。
可憐でふくよかな白い肌をした………
「お前ロリコンか!」
開口一番、思わず突っ込む。
「Nein! 無礼デスな!
ランドセルしていませんことを見て下さいデス!」
「何言ってんだ、ランドセルの有無で分かるか!」
「………それマジデスか?」
「マジだ!」
背が二十センチ以上も違うドイツ人青年にお金を出して貰い、クレーンゲームに興じている少女に怯える様子はなく、とても懐いていた。
一頻り遊び終えてから、二人は連れ立ってゲームセンターの外に出た。
腕を掴むフランス人形のような少女に、ファウストが囁きかける。
『今日、ホテルOKデスか?』
『………』
耳を真っ赤にさせて、数秒経過してから少女が俯く。
動画の残り再生時間を見ると二時間はあった。
「すぐ止めろ。
このロリコン盗撮魔を警察に通報する」
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