第1章

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私の中学校は昔のマンモス校の名残をまだまだ残していて、最近の学校には珍しく、ひとつの学年に7クラスもあるような巨大学校だった。 大体3つの小学校からこの中学校に入学してきて、私の学年は200人以上。同じ学年でも見たことも喋ったこともない人もいる。名前を言われても「誰?」となる同級生はざらにいる。 褒められたくて 良い子って言われたくて 勉強も頑張った。 これまで200人以上の中から上位10位以内から落ちなかった。先生や友達に、少し遠くの地方都市にある県内の有名進学校に進めるぞ、と言われている。 部活が好きだった。 吹奏楽部でトロンボーン担当。年功序列で上級生しかいなかったポジションの座を奪った。アンサンブルコンテストでは1年生チームではなく2年生チームに唯一の1年生として入れてもらえた。合奏もアンサンブルも、支部大会へ進めた。 「誇り」がこの一年間で「当たり前にすべきこと」に変わっていたことにも気づかずに そのことがこれからの私を苦しめることになるとも知らずに 友達はそれなりにいた。 幼稚園、小学校からの幼馴染とは変わらず仲良く。中学校で新たに出会った友達も出来た。まだ携帯電話を持っていなくて、家の電話の子機を自分の部屋に持ち込んで、新しくできた友達と、流行りのテレビ、音楽、共通の趣味、クラスの噂……夜な夜な話し込んだ日もたくさんあった。 恋は……まだよくわからなかった。 委員長がモテる奴で、クラスの女の子が何人も委員長が好きらしいというのをよく聞いていた。友達にも委員長を好きになった子がいて話を聞いていた。私はまだ幼くて、そんな他の人たちの話を聞いているだけだった。
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